龍を継ぐもの 上杉中納言景勝
軍神と呼ばれた越後の雄、上杉謙信は仏門に入っており生涯妻子を持つことはありませんでした。
そこで謙信の姉、仙桃院の息子が上杉家に養子として招かれます。
この人物が後に上杉家を継ぐ事になる上杉景勝です。
謙信亡き後、上杉家内の後継者争いや織田軍の侵攻といった危機を乗り切った景勝は豊臣政権下では五大老の一人として、また会津に移り東北の諸大名へ睨みを利かすなど中心的な役割を演じます。
景勝は普段から非常に物静かな人物で、笑った事さえほとんどないと言われています。しかしその「静かさ」は彼に対する信頼を深め、またいい意味での緊張感をもたらすものであったようです。
それを証明するかのように景勝には彼を深く信頼する忠臣が集まっており、景勝に対する絶対的な忠誠心を生涯貫いた直江兼続を筆頭に傾奇者として知られる「戦国の自由人」前田慶次も彼の姿に感心し「我が主君と仰ぐのは上杉景勝以外にはいない」と言わしめたという逸話も残っています。
豊臣秀吉がこの世を去った後、徳川家康と対立した景勝は関ヶ原の戦いの後米沢に減封され、収入が豊臣時代の4分の1にまで落ち込んでしまいます。
しかしその時も景勝は家臣を自ら減らす事はせず、また家臣もそれに応えて収入が激減する事も厭わず彼についてゆきました。ここからも、寡黙ながら決して人を裏切らない景勝が周囲に深く慕われていた事を伺い知る事ができるでしょう。
今作のデザインは「小説・天地人」での上杉景勝のイメージを受け、モノクロによって彼の静かさと「雪国の心」を表現しました。前面には刀の収集家でもあった景勝が、自分を見つめるように愛刀の手入れをするイメージを上杉家を象徴する家紋の雀と共に配置。室内に降る雪は彼の内面を象徴する静謐さ、神聖さを表しています。
背面にも舞い散る雪のモチーフの中に日輪の前立てと上杉家の家紋、さらに「北越軍談 謙信公語録」に残る謙信の遺訓「仁義礼智信の五を規とし、慈愛を持って衆人を憐れみ」という儒学の思想から「仁義礼智信」の五文字を抜粋し、雪に重ねる形でデザイン。この中の「仁」という言葉は「仁愛」につながり、有名な直江兼続の前立て「愛」の由来になったとも言われています。
多くを語らず、ただ凛とした姿を示す事によって言葉よりも大きな力で周囲を惹きつけた上杉景勝。彼の持つ深く、強い静けさをイメージした一品です。
デザイン:立澤竜也
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